シェーグレン症候群という病気を知っている人はいますが、多くの方はまだまだ知らない人は多いです。実際に、筆者も調べるまで、症状も何もわかりませんでした。
ここでは、シェーグレン症候群を患ってしまった芸能人について紹介していきます。そのうえで、気になる疑問と、その回答についても触れていきます。
シェーグレン症候群の詳細
出典:いらすとや
シェーグレン症候群とは、どのような病気なのでしょうか。ここでは、シェーグレン症候群について、症状も含めて説明します。
シェーグレン症候群は、全身の慢性的な炎症性疾患の総称である、膠原病のうちの一つです。
シェーグレン症候群を発症すると、涙腺や唾液腺などの外分泌腺に影響がでます。他の膠原病に合併する事が多く、その場合は二次性シェーグレン症候群と呼ばれるようです。
発症の原因は不明ですが、遺伝的要因、ウイルスなどの環境要因、免疫異常、女性ホルモンの関与が考えられています。女性が発症することが多いのだとか。
主な症状は、眼の乾燥と口腔内の乾燥です。
症状の例:涙が出ない、目がゴロゴロする、目が痛い、口が渇く、唾液が出ない、味がわからない、舌や口内内が痛い、虫歯が多くなった、唾液腺が腫れて痛いなど。
その他の症状の例:鼻腔の乾燥。膣の乾燥。乾燥肌、堤防状に辺縁が隆起した環状紅斑、しもやけ様紅斑など多くの皮膚症状。発熱、倦怠感、関節痛、疲労感、記憶力低下、頭痛などの全身症状。
萎縮性胃炎、間質性肺炎、末梢神経症、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、間質性腎炎などの内臓での症状。
以上のように、かなり多くの症状があげられ、症状の個人差が大きいのが、特徴です。
シェーグレン症候群を患ってしまった芸能人!5人
シェーグレン症候群が、どのような病気か説明してきました。
複数の症状を引き起こすこの病気と闘いながら、芸能活動を続けている芸能人がいます。輝きの裏側での葛藤が、垣間見えるかもしれません。
ここからは、シェーグレン症候群を患っている芸能人について紹介していきます。
和田アキ子
タレント、歌手として活躍している和田アキ子さん。芸能界の大御所として、様々な場面で活躍をしています。
和田さんは、自身のラジオでシェーグレン症候群であることを公表しています。特にドライマウスの症状が強く、常に水がないと生きていけないほどなのだとか。
ドライマウスだと、声を出しにくくなるといわれています。のどが渇くと話しにくくなる感覚は、理解できるのではないでしょうか。
また、和田さんは、身体の疲れがなかなかとれないと話していました。年齢のせいかもしれませんが、シェーグレン症候群による、全身の疲労感も影響しているでしょう。
声が出しにくく、疲労感が抜けない状態であっても、和田さんは歌い続け、話し続けています。若い世代から、全世代で人気を獲得してます。
男勝りで勝気なイメージのある和田さんですが、緊張しいで、精神的にも弱い一面があるとのこと。
それでも、病気を乗り越えたり、抱えたりしながら、表舞台で明るく活躍し続けています。
菊池桃子
歌手、女優、タレントとして活躍している菊池桃子さん。大学教員など、活躍の幅を広げています。
菊池さんは、シェーグレン症候群であることを公表しています。体調が心配されていましたが、身体には問題はなく、日常生活にも影響は出ていないとのこと。
シェーグレン症候群は、早期発見と定期的な治療によって、普段通りの生活がおくれるとも、いわれています。
そのため、シェーグレン症候群の発症後も、菊池さんは問題なく日常生活をおくっているのかもしれません。
いくら安定した状態であっても、病気とは長く向き合っていく必要があります。
シングルマザーとなったうえに、シェーグレン症候群を抱えることとなった、菊池さんの心理的ストレスは計り知れません。
それでも、ふんわりおだやかな雰囲気を変えることなく、活躍を続けています。
今後の症状の悪化など、心配な面もありますが、さらなる活躍に期待が高まりますね。
ダレノガレ明美
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モデル、タレントとして活躍しているダレノガレ明美さん。ドッキリのターゲットとなることも多いですね。
ダレノガレさんは、番組のなかで、ドライアイやドライマウスの症状から、シェーグレン症候群の可能性が指摘されていました。
自身からの公表はありませんが、闘病中の可能性もあるかもしれません。
また、ダレノガレさんは、中学時代に髪の毛が抜けてしまい、かつらで生活していたのだとか。
ストレスによる円形脱毛症も考えられましたが、全身性エリテマトーデスを発症している可能性も指摘されています。
全身性エリテマトーデスの発症によって、シェーグレン症候群も併発しているのかもしれません。
いずれにしても、ダレノガレさんの元気な様子は健在です。その元気の裏側で、実は闘病生活を送っているのでしょうか。。。
同情されたくない、反応が怖い、など隠す理由も多々あるでしょう。心配な部分もありますが、今後もダレノガレさんの活躍が楽しみですね。
夏目亜季
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現役政治家アイドルの肩書をもつ夏目亜季さん。子宮頸がんに関する公演を行うなど、NHKから国民を守る党所属の荒川区議会議員としても活躍しています。
夏目さんは、自己免疫性溶血性貧血、全身性エリテマトーデス、子宮頸がんなどを発症し、長期にわたる闘病生活を経験しています。
生死をさまようこともあり、かなり深刻なものだったのだとか。自身の経験から、病気の予防を訴えるための活動もしています。
夏目さんは、度々悩まされてきた全身性エリテマトーデスから、シェーグレン症候群も発症したことを公表しています。病気が判明した時には、身体の乾燥や疲労感を感じていたとのこと。
病気の症状や治療によって、他の病気を発症させているのでしょうか。様々な病気を発症し、悩んだりつらい経験をしたりしても、夏目さんは前向きに活躍しています。
元気に活動していても、やはり体調の波はあるのだとか。しかし現在は、日々の活躍や元気な姿がたくさん投稿されていて、体調の良さが感じられます。
つらい時でも前向きでいることを忘れない、夏目さんの今後の活躍にも注目ですね。
ヴィーナス・ウィリアムズ
Yes, I can cook 😉 pic.twitter.com/lmnXR0VPd7
— Venus Williams (@Venuseswilliams) December 8, 2021
アメリカのプロテニス選手として活躍しているヴィーナス・ウィリアムズさん。数々の大会での優勝経験があります。
ウィリアムズさんは、シェーグレン症候群を発症してから、絶え間ない疲労感を感じ、思ったような成績がだせない時期がありました。
また、発症後も、なかなか正しい診断がされず、苦しい思いをしていたのだとか。症状の波があったり、類似の症状があったりするため、診断も難しくなるのでしょう。
シェーグレン症候群を理由に、試合を棄権することもありましたが、すぐに復帰しています。
治療が始まってからは、徐々に試合の成績もよくなり、本来の実力を取り戻したとのこと。体調が回復しているのでしょう。
シェーグレン症候群を患って以降、ビーガンという野菜中心の食事に切り替えたことで、選手としての実力を取り戻したともいわれています。
詳しい因果関係はわかりませんが、ウィリアムズさんの身体と、ビーガンの相性がよかったのかもしれません。
単に治療の効果で体調が良くなっていることもありますので、食事を大幅に変えるときには、医師との相談も必要ですよ。
調子を取り戻したウィリアムズさんが、今後どのような活躍をしていくのか、期待が高まっています。
シェーグレン症候群の治療方法
出典:いらすとや
シェーグレン症候群を発症した場合、どのような治療をするのでしょうか。
ここでは、シェーグレン症候群の治療について、説明します。
身体の乾燥症状や皮膚症状を軽減させること、病気を抑えて進行を防ぐことを目的として、治療を行います。
症状ごとに、用いる薬や治療方法が異なります。
- 眼の乾燥→点眼薬、口腔の乾燥→含嗽薬
- 皮膚症状:環状紅斑→ステロイド薬の内服、しもやけ様紅斑→末梢循環改善薬と外用剤の軟膏、蕁麻疹様紅斑→抗アレルギー薬の内服、乾燥肌→保湿剤
- 全身症状や臓器病変がある場合→ステロイド薬や免疫抑制薬の内服
これらのように、症状に応じた治療を行います。完治が難しい病気ですが、症状の緩和や進行の防止を目指しましょう。
生活上の注意点
出典:フォーヘルスケア
シェーグレン症候群を発症後も、治療によって、問題なく日常生活をおくれるでしょう。それでも、注意するべきことがあるようです。
ここでは、生活をするうえで注意するべきことについて、説明します。
シェーグレン症候群を発症した後でも、特別な制限は必要ありません。
しかし、免疫抑制薬を服用している場合は、感染症対策に気を付けてください。
免疫の機能が抑制された状態で、細菌やウイルスに感染すると、身体をまもることが難しくなり、病気が悪化しやすくなるため注意が必要です。
妊娠、出産はできます。シェーグレン症候群では、様々な自己抗体がみられます。頻度は低いですが、抗体による胎児への影響が疑われた際には、ステロイド薬を服用する場合があります。
小児期に発症したシェーグレン症候群で、自己抗体が出ている場合には、定期的な受診が必要になります。
シェーグレン症候群では、様々な症状があらわれます。それまでと異なる症状が出た際には、医師に相談するようにしてください。
注意するべきことをまもりながら、生活をしましょう。
様々な疑問の回答
出典:いらすとや
ここまで、シェーグレン症候群について、詳しく紹介してきましたが、疑問は解決できたでしょうか。
聞きなれない病気のため、疑問も尽きないかもしれません。
そこで、いろいろな情報を基に、よくある疑問と、その回答を紹介していきます。詳しい内容を知りたい場合も、こちらを参考にしてください。
①シェーグレン症候群とは
A.中年女性が発症することが多い、涙腺と唾液腺を標的とする臓器特異的自己免疫疾患ですが、全身性の臓器病変を伴う全身性の自己免疫疾患でもあります。
膠原病の一つで、他の膠原病と合併する二次性シェーグレン症候群と、合併のない原発性シェーグレン症候群に分類されます。シェーグレン症候群の症状、症状の重さは、個人差が大きいのが特徴です。
②この病気の患者数はどのくらいか
A.2011年の厚生労働省研究班のデータでは、1年間に病院などで受診した患者は約68,000人とされていました。潜在的な患者を含めると、もっと多くの患者がいると推定されています。
③どのような人に多いですか
A.この疾患の年齢層は、50歳代がピークですが、子供から80歳の老人まで、少数ながら発症する場合もあるのだとか。女性が発症することが多く、膠原病との併発もあります。
④病気の原因はわかっていますか
A.自己免疫による疾患で、遺伝的要因、ウイルスなどの環境要因、免疫異常、女性ホルモンが、原因として考えられます。
詳しい原因は明らかではないですが、これらの要因が複雑に絡んで発症すると、いわれています。
⑤病気は遺伝しますか
同一家族内で膠原病が発症するのは約8%、シェーグレン症候群が発症するのは約2%とされています。単一の遺伝子の変化が原因で発症する、遺伝病ではないでしょう。
⑥この病気ではどのような症状がおきますか
・目の乾燥(ドライアイ)
涙が出ない、目がごろごろする、目がかゆい、目が痛い、目が疲れる、物がよくみえない、まぶしい、目やにがたまる、悲しい時でも涙が出ないなど。
・口の乾燥(ドライマウス)
口が渇く、唾液が出ない、摂食時によく水を飲む、口が渇いて日常会話が続けられない、味がよくわからない、口内が痛む、外出時水筒を持ち歩く、夜間に飲水のために起きる、虫歯が多くなったなど。
・鼻腔の乾燥
鼻が渇く、鼻の中にかさぶたが出来る、鼻出血があるなど。
・その他の症状
唾液腺の腫れと痛み、息切れ、熱が出る、関節痛、毛が抜ける、肌荒れ、夜間の頻尿、紫斑、レイノー現象、アレルギー、日光過敏、膣乾燥、疲労感、記憶力低下、頭痛、めまい、集中力の低下、気分が移りやすい、うつ傾向など。
⑦どのようにして診断されますか
A.(1)口唇小唾液腺または涙腺の生検組織でリンパ球浸潤がある
(2)唾液分泌量の低下がガムテスト、サクソンテストで証明され、シンチグラフィーで異常がある、または唾液腺造影で異常がある
(3)涙の分泌低下がシャーマーテストで証明され、ローズベンガル試験または蛍光色素試験で角結膜の上皮障害がある
(4)抗SS‐A抗体か抗SS‐B抗体が陽性である
この4項目中、2項目以上が陽性であれば、シェーグレン症候群と診断されます。
⑧どのような治療がありますか
A.現状では、シェーグレン症候群は完治出来ません。治療は、乾燥症状を軽減させること、疾患の進行を防ぐことを目的としています。
その症状によって、治療方法が変わります。
目の乾燥、口の乾燥には、毎日の点眼、口腔清潔を心がけ、エアコン、風の強い所、タバコの煙などに注意しましょう。
膣の乾燥には、エストロジェンの内服やエストロジェン入りのクリームなどを使用するために、婦人科の受診がおすすめです。
規則正しい生活、休養、バランスのとれた食事、適度な運動、ストレスを取り除く等、注意してください。医師と協力し、忍耐強く病気に対応していきましょう。
⑨病気に対して、どのような取り組みがありますか
A.患者会として「シェーグレンの会」があり、毎年1回開かれています。日本では「日本シェーグレン症候群学会」があり、国際的な研究会として「国際シェーグレン症候群シンポジウム」が2~3年に1回開かれています。シェーグレン症候群の原因の解明、新しい治療の開発が確実に進んでいます。
以上のように、シェーグレン症候群に関する様々な疑問と、その回答について説明してきました。
シェーグレン症候群の芸能人まとめ
出典:いらすとや
ここまで、シェーグレン症候群を患った芸能人について紹介してきました。また、シェーグレン症候群について詳しく説明し、疑問やその回答についても触れてきました。
どんな病気にも、漠然とした恐怖や不安はあると思います。
シェーグレン症候群は、完治しなくても、治療によって日常生活をおくることができる病気です。病気について知ることで、感じ方が変わるでしょう。
また、病気かもしれない、こんな症状がでる病気なんてあるのか、など悩んでいる人の受診のきっかけや、悩んでいる人への助言につながるかもしれません。
シェーグレン症候群は、潜在的な患者も多い病気で、疑問も多く、まだまだ認知が低い病気でしょう。
今回の記事を通して、シェーグレン症候群が少しでも理解できたら幸いです。さらなる医療の進歩によって、詳しい原因の解明や、治療の進化がすすむことを願います。